今回は私がどのようにOura Ringで取り溜めたデータを活用しているかを紹介したいと思う。
Oura appだけだと表面的なアドバイスしか得られない
Oura RingやApple Watch、Fitbitに代表されるようなアクティビティートラッカーの登場によって普段どおりの生活を送りながら多くの生体データを収集できる環境が整ってきているが、肝心の取り溜めた生体データをどうやって分析し、活用するかといったノウハウに関しては現状あまり確立されていないような印象を受ける。
Oura RingについてもOura appでのデータ分析機能はまだまだ充実しているといえる代物ではない。
Oura Ringをつけて2ヶ月以上経ち、睡眠状態が記録として可視化されたことで、自分の睡眠習慣がどうなっているか客観的に把握でき、睡眠について考える良いきっかけにはなった。ただ、睡眠状態の把握からもう一歩踏み込んで、睡眠の改善を目指すには現行のOura appの機能だけだと少し物足りないと感じる。
例えばOura appは睡眠データから、REM Sleepが平均よりも短い傾向にあることを教えてくれる、ただ、その状態を改善するために具体的にどんな行動を取る必要があるかという深いところまではわからない。
就寝時間を一定にしたり、夜にカフェインやアルコールを控えるとREM睡眠の時間が伸びる傾向があることを一般知識として教えてくれるが、実際の改善行動によってどの程度の効果があったかの分析、検証まではしてくれず自分自身で色々なデータを読み解き、分析する必要がある。
実際にOura appから私が受け取ったアドバイスを振り返ってみると”今日はReadinessスコアが下がり気味だから無理せずに”とか、”睡眠時間が少ないから睡眠時間を確保しよう”とか、”22時に就寝するようにしましょう”といったレベル感の表面的なアドバイスにとどまりあまり意味を見出せるような助言は残念ながら得られなかった。
Bioloop Sleepで睡眠データを解析
世の中には睡眠の質をあげるために良いとされる習慣、製品、サービスが色々と存在しているが、その効果の程度はモノによって様々だし、人によって合う合わないもあると思う。Oura Ringで睡眠の質が客観的なデータとして把握できると睡眠データを指標に効果の程度を把握でき、自分にとって何が本当に効果のあるものなのかを判断しやすい。
ただ自力でOura ringの数多くのデータを分析してそこから意味のある情報をすくい上げるのはなかなか素人には難しい。何か良いツールがないかと探し回っていたところ見つけたのがBioloopというサービスだ。
Bioloopは米国のペンシルバニア州にあるスワースモア大学の研究チームがスポンサーの睡眠習慣の改善を目的としたコーチングのサービスでOura RingやFitbitと連携して取得した睡眠データを解析しながら、科学的根拠に基づき個々人に合った睡眠改善のアドバイスをしてくれる。
現在はまだベータ版の段階でapp storeなどで一般公開はされていない段階だが、公式 HPからβ版の参加申し込みをしてみた。

ホームページからearly accessのリクエストを出すと入力したメールアドレス宛てに現在の睡眠習慣についてのアンケートのリンクがついたメールが届く。記入した回答をBioloopが確認してテスターとして適切と判断されるとBioloopからβ版への招待メールが届く、βテストに参加するにあたってgoogle meetを使っての面談があり、Bioloopに興味を持ったきっかけや睡眠習慣に関する簡単な聞き取りに答えた後に画面を共有しながら指示に従い、アカウントのセットアップを行なっていく。(現段階では英語でのみのサービス提供なのでβテストに参加するためには不自由なく日常会話ができるぐらいの英語力は必要)
アカウントは無料のものと睡眠のプロによる個別のコーチングサービスが利用できる$24.99/月の有料版があるが、物は試しと今回は有料版をチョイスしてみた。
Bioloopの目玉機能はexperiments(実験)というサービスで自分で選んだ睡眠改善の行動がどれだけ自分の睡眠の質に影響を及ぼしているのかを実際に実験してeffect Scoreとしてその影響度を示してくれる。
以下はHPに掲載されている事例だが、Meditation before bed(就寝前の瞑想)というアクションを実施した期間(Trial)と実施しなかった期間(Base line)で個々の睡眠パラメーターがどれだけ変化したかを自動で分析し、どれほど改善効果があったかを教えてくれる。

面白いのがサイト上では他のβテスト参加者が実施中の実験の途中結果や完了済みの実験結果の確認などもでき、どんな行動がどの睡眠パラメーターの改善にどの程度効果があったかなど参照も可能となっていて自分の睡眠改善の参考にできる。データを見ると同じ行動でも人によって効果の出方はバラツキがあるのがわかり、自分にとって効果のある睡眠習慣をデータで判断して改善していくというサービスコンセプトは興味深い
今回は過去のOuraのデータで不十分とアラートが出ることが多かったREM睡眠の時間を延ばしたいという希望をコーチのJasonに伝えたところ、過去の参加者の実験結果などから就寝前の瞑想を試してみようということになり、検証実験のスケジュールを組んでもらった。
今日から4日間は瞑想を実施、その後2日間は瞑想しないみたいにアプリ上に表示される指示に従って行動をするだけであとはデータの統計処理や結果分析はBioloopがすべてやってくれる。データに何か普段と違うデータや気になる点があるとJasonから小まめにチャットが入って普段と違う行動がなかったかなどの聞き取りやより良い睡眠を得るための改善アドバイスがもらえる。
現在絶賛実験中なので実験結果などはまた随時ブログで紹介して行こうと思う。
今後、Biosleepのような個々人の生体データを分析し、そのデータに基づいて具体的な改善のアドバイスや効果の検証といった健康改善のコンサルサービスが一般的に利用できるようになると、まだ興味本位のおもちゃ扱いになっているアクティビティートラッカーによるデータ収集が趣味の範疇から実用のレベルに昇華でき、より一層普及していくことになるだろうと思う。