レビュー:Oura Ringでできること、データの精度は?

レビュー:Oura Ringでできること、データの精度は?

前回の購入編に続いてOura Ringで収集できる記録データについて書いて行きたいと思う。

Oura ringで記録されたデータを見る

Oura Ringは測定したデータを専用のモバイルアプリ(Oura app)にBluetooth経由で同期する。起床後にアプリを開くと自動で同期が始まり、1日分のデータなら十数秒程度で同期が完了するのでそれほど手間には感じない。公式サイトの情報だとアプリと同期せずに単独で使用した場合でもリングは最大6週間分のデータを保存しておくことが可能らしい。

Phone to Ring Proximity: General Guidelines

https://support.ouraring.com/hc/en-us/articles/360025578673-Phone-to-Ring-Proximity-General-Guidelines

アプリを開くとReadinessスコアやSleepスコアが表示される。点数が高いほど良い状態を意味していて85を超えると褒められ、下記の画像のように点数が低いと身体をいたわるようにという注意を受ける

またスコアをタップするとデータトレンドに対するアプリからの分析結果が表示される。Sleepスコアをタップしたのが下記のページだが過去7日間のスコアを見ると数値が減少傾向にあるので睡眠の優先度を上げることを勧められた。

各項目のより細かいデータを閲覧する場合はHomeのタブからReadiness、Sleep、Activityのタブに切り替えることで確認できる

Readinessのタブを開いたのが以下の画像、Readinessスコアの最近のデータトレンドとともにスコアの計算に使用されている各種指標がどのようになっているかが表示される

こちらはSleepのタブ、睡眠の記録はSleep Stageごとに分類されて記録される。

記録を見ると常にREM睡眠の時間が短いのが気になる。

Activityの記録。

過去7日間の歩数の記録をiphoneのヘルスケアアプリのものと比べたのが下記の表だが、ヘルスケアの歩数よりもかなり多めに表示される。加速度センサーによる動きの検知のみで活動量や歩数を計測しているので、腕を動かすだけの動作でも歩行とカウントされるようだ。海外の掲示板ではギターを弾いたら激しい運動として記録されていたというユーザーからの報告もあった。そういった理由でよく動かす利き手にリングをつけると活動量が本来よりも高めに記録されるようだ。

 Oura Ring StepsApple HealthCare
Day111,0377,563
Day210,2615,749
Day311,77811,883
Day412,4886,788
Day58,9125,349
Day616,69912,593
Day718,16110,485

コロナ流行で気にする人が多くなった体温についてもOura ringは測定してくれる。ただし、絶対値の表示はなくアプリ内部の自動計算で求められた基準値に対してどの程度変化したかという差分の表記でのみ示される。私自身はまだ体験がないのだが、他のOura ringユーザーの話だと体調を崩す前は前触れとして大きく体温が変化するようなデータが見られるらしい。

モバイルアプリに同期されたOura ringのデータはクラウド上にも自動で同期され、Oura on the webというブラウザ上のページでの閲覧も可能となっている。

Oura on the web上では表示する期間や項目を選択して、横並びで比較できたり、モバイルアプリ上ではできないような分析機能を備えている、また取り溜めたデータをcsv形式でダウンロードすることも可能なのでエクセルを使えば、相関係数の計算などより専門的な分析もできる。

データの精度:睡眠ステージの分析は眉唾もの?

様々な生体シグナルを日常生活をしながら手軽に記録できるOura Ringだがその測定精度はどのようなものだろう。

脳波、眼球運動、心電図などを用いて詳細に睡眠状態を記録する終夜眠ポリグラフ(PSG)のデータを基準としてOura Ringの睡眠データの取得データの精度を調べた研究論文によると睡眠を検出する感度は95.5±4.5%だが、起きている状態を睡眠状態から区別する特異度は48.1±19.1%と低い、Ouraの睡眠データは加速度センサーによる動きの検知と体温、心拍の変化が元となっているので、起きているけどジッと動かない状態の時に寝ているのか起きているのかを見分けるのが難しいようだ。睡眠ステージの特定についてもLight Sleepで64.6±13.9% 、Deep Sleepで50.9±24.5%、REM Sleepで61.4±22.8%で脳波を測定する医療機器と同等精度というのは難しく現在のテクノロジーでは睡眠ステージの分析はあまり参考にはできないようだ。AppleがWatch OS7でスリープモニタリング機能を搭載するそうだが、Oura ringを含めたスリープモニタリングで先行する競合他社が多く提供している睡眠ステージの分析を含めないシンプルな仕様にとどめているのは 測定精度の面でAppleの基準に達するレベルのものが技術的に難しかったからなのだろう。データ解析のアルゴリズムの改良によって精度を上げる余地はまだまだあるのだろうが、現存のセンサーを使ったデバイスでの睡眠ステージの分析精度はどの製品も似たり寄ったりで眉唾もの程度に捉えるのが良いのだと思う。睡眠データを見るときは睡眠ステージの結果はあまり気にせず、トータルの睡眠時間やResting Heart rateのグラフを見る方が有意義だと思われる。

The Sleep of the Ring: Comparison of the ŌURASleep TrackerAgainst Polysomnography

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6095823/

この手の個人で購入可能な一般消費者向けの製品に医療機器と同等の正確な測定値を求めるのはあまり意味のないことだと思う。正しい測定値が必要ならば健康診断などで専門の医療機関を訪ねて測るべきだというのが私の考えだ。こういった日常使いのトラッカーのデータを見るときは絶対値の正しさを議論するべきでなく、収集しているデータトレンドの変化にのみ注目すべきだと思う。確認したい指標が普段の数値に対して上がってきているのか、下がってきているのかという点が正しく読み取れれば、日常的な個人の健康管理目的のデバイスの要件としては十分だと思う。

単純に得られるデータ精度という観点でみた場合はApple WatchもFitbitもOuraも大差はないのだと思う、24時間つけっぱなしでも気にならないリング形状というのはデータ収集の観点で見た時にスマートウォッチにない大きなメリットでOura ringを選択する理由になりうると思う。

次回は取り溜めたデータを活用する方法について書いてみたいと思う